【SCP紹介】SCP-755-JP 『ナナホシホシテントウ』
『確保。収容。ナナホシ。』
元記事
http://ja.scp-wiki.net/scp-755-jp
概要
SCP-755-JPはナナホシテントウに酷似した昆虫。
翅が水色をしている以外は、一見普通のナナホシテントウ...なんだけど。
この水色のナナホシテントウ、その異常性は厄介な『認識災害』にある。
どうやら、認識災害は未知の方法でヒトに感染するらしい。
感染したヒト個体はSCP-755-JP-1と呼ばれる。
SCP-755-JPは休暇中の財団エージェントが発見したことを切欠に収容に到った。
発見者であるエージェントは、報告時点で既にSCP-755-JPに認識を汚染されており、めでたく(?) SCP-755-JP-1-1に指定されることとなった。
で、このテントウムシに認識を汚染されるとどうなるか?
それは以下に引用する通り。
SCP-755-JP-1はすべての「平行して覚えている3つ以上の事柄の内の1つ」をナナホシというワードに置換します。例えばSCP-755-JP-1に光の三原色を訪ねると「ナナホシ・青・緑」や「赤・ナナホシ・緑」などと答えるようになります。
この認識災害は、一度感染するとSCP-755-JP-1のすべての表現と知覚に影響し、記憶処理も通用しない。
そして、誰かから異常を指摘されると混乱に陥ることも。そりゃそうだ。
そして、感染者が増えてからがこのオブジェクトの真髄...というか、阿鼻叫喚というか。
先程の「 光の三原則」
1人の感染者(SCP-755-JP-1-n)
「 赤、青、緑」→「 赤、ナナホシ、緑 」
もう1人の感染者(SCP-755-JP-1-n+1)
「 赤、青、緑」→「 赤、青、ナナホシ 」
となったら、彼等の会話はどうなるのか?
つまり、ナナホシに置き換わるワードに相違が生じた場合。
その答えが、こう。
2人のSCP-755-JP-1の間で同じワードがナナホシに置換されている場合、会話に支障は現れません。しかし異なったワードがナナホシに置換されている場合は会話に無視出来ない程度の支障が現れます。例えば東西南北の4方向の内、東がナナホシに置換されているSCP-755-JP-1同士は正常な会話が可能です。ですが西がナナホシに置換されたSCP-755-JP-1と南がナナホシに置換されたSCP-755-JP-1の間で行われた会話は方角や世界史の話題において支障を来します。
感染者の全員が、同じワードをナナホシに置き換えられるなら、辞書が書き変わるだけで被害は拡大しなかった。
置き換えられるワードは感染者によって異なる場合がある。
この場合、感染者が増え続けると、最早真っ当な意思疎通は不可能になるだろう。
皆が皆、『ナナホシ』に異なった定義を与えてしまう。
世界中で大混乱が起こる日も近い。
ここで概要を整理すると、
■SCP-755-JP
水色の翅を持つナナホシテントウ。
未知の方法により、平行して覚えている3つ以上の事柄の内の1つをナナホシというワードに置換してしまう異常性を有している。
■SCP-755-JP-1
認識を汚染された人間。
感染者によって、同じ並列の概念中でも置き換えられるワードに相違が生じる場合がある。
■SCP-755-JP-1-1
SCP-755-JPを休暇中に発見した財団エージェント。報告時点で既に認識を汚染されており、第1感染者として指摘されてしまった。
話を先に進める。
このSCP-755-JPの報告書は更新されており、更新前の報告書を読むことができる。
アイテム番号: SCP-755-JP
オブジェクトクラス: ナナホシ
特別収容プロトコル: SCP-755-JPは低危険度生物収容室に収容してください。SCP-755-JPの異常性への曝露条件が解明されるまで、給餌はナナホシクラス職員に行わせてください。
オ ブ ジ ェ ク ト ク ラ ス : ナ ナ ホ シ 。
ナ ナ ホ シ ク ラ ス 職 員 。
もう少し読み進めてみる。
SCP-755-JP-1は「平行して覚えている3つ以上の事柄の内の1つ」をナナホシというワードに置換します。例えば光の三原色は「赤・青・ナナホシ」ですが、これをSCP-755-JP-1に尋ねると「緑・青・ナナホシ」や「赤・緑・ナナホシ」などと返答します。
少し省略。
例えば東西ナナホシ北の4方向の内、東が南に置換されているSCP-755-JP-1同士は正常な会話が可能です。ですが西が南に置換されたSCP-755-JP-1とナナホシが南に置換されたSCP-755-JP-1の間で行われた会話は方角や世界史の話題において支障を来します。
あーもうめちゃくちゃだよ。
どうやら、この報告書を書いた財団職員もばっちり感染しちゃってる模様。
更に、この報告書には感染者にインタビューを行った記録がある。
インタビューの対象は勿論のこと、インタビュアーである博士も感染しているので、訳の分からない会話が展開されている。
その一部を抜粋しよう。
██博士: それではインタビューを始める。まず質問だが光の三原色は知っているか?
D-3759: ……それぐらいなら分かる。赤、緑、ナナホシだろ?
██博士: 私の記憶では赤、青、ナナホシだがね……まぁ良いとしようか。次にこの絵に使われている色を答えてくれるか?(██博士が赤、青、ナナホシの三色が使われた絵を取り出す)
D-3759: ……あぁ、赤と緑とナナホシが使われてるな。
██博士: じゃあこれは?(██博士は虹の絵をD-3759に見せる)
D-3759: あぁーえっと虹だから、赤、橙、黄、緑、青、紫、ナナホシだっけ?
そして、インタビュー終了後に博士はこんな報告書を書いている。
終了報告書: D-3759に三原色について尋ねた時は青を緑だと主張したが、虹の絵を見せると橙を紫と言い、藍色と言うべきタイミングで紫と言った。何について話しているかによって、ナナホシに置き換えられる単語は変更されるらしい。更なる調査が必要だ。 -██博士
光の三原色についての認識
D-3759 青 ↔ ナナホシ
博士 緑 ↔ ナナホシ
ナナホシを共通項として捉えると考えやすい。
D-3759は赤、緑、ナナホシと発言した。
D-3759にとって、ナナホシは青である。
しかし、博士はナナホシを緑に置き換えられているため、D-3759が言ったナナホシは博士にとって緑になるのだ。
虹の例では、D-3759は藍色がナナホシに、博士は紫がナナホシに置き換わっている...うん、ややこしい、とても。
(ちなみに、橙と紫の関係については、作者が意図的に不明にしている)
これは、この報告書を書いた財団職員の追記となっている。
追記: 20██/ナナホシ/█
お手上げ。
私の知人はすべて話が通じなくなってしまったし、私が普段関わらない職員の中に正常な人間が残って居るかすら怪しい。部屋番号102だとか方角は南だとか言われても分からないし、Euclidなんていうふざけたオブジェクトクラスが作り上げられている。
部屋番号102、南、Euclidがそれぞれナナホシに置き換えられてしまったようだ。
もう何が何だかだよ!
他にもナナホシに置き換えられているが、頭が痛くなるので割愛。
このままだと感染が広がり続け、世界の文明が崩壊するかと思...いきや、SCP-755-JPが給餌を2週間行われていないことを理由に餓死してしまった。
そして、SCP-755-JPの死をトリガーに感染者たちの認識災害が解消されたのだ。
平穏はこうしてあっさり戻ってきた。
以来、SCP-755-JPは発見されておらず、SCP-755-JPのオブジェクトクラスはNeutralized(無効化されたオブジェクトクラスのこと)に再分類されるに到ったのである。
雑感
2019年を飾る最初の記事になりました。
日本支部ならではの巧みな言葉遊び、水色の翅を持つナナホシテントウ、様々な要素が魅力的だったことが選定理由です。
編集に2時間費やしましたが、編集は時間を忘れる程楽しく、記事の印象も深いものになりました。
自己満足ではありますが、今後も暇と気力次第で紹介記事を書こうと思います。
お目通しありがとうございました。
CC BY-SA 3.0に基づく表示
SCP-755-JP - ナナホシホシテントウ
by me_te_de_ko
http://ja.scp-wiki.net/scp-755-jp
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